2019年も折り返し、自己啓発月間です(美術のお勉強の時間だよ)。
どうも、先週は夜外食が多くて少しぽっちゃりしてきたkazukichixです。丸亀製麺がお得なキャンペーンをやっていたのが悪いんです…くそ、うどん、おいしかった…
ところで最近Windowsで予測変換を使ったときに入力していた文字が消えるんですけど、似たような現象見たことないですか?私は家パソコンと職場パソコンで起きました。
1週間前は7月2日だったので、すでに2019年は折り返していたのですが、、、細かいことは気にしないことにしましょう。やれ平成最後の年末だ、やれ平成最後のお花見だ、なんて言われていたのが懐かしいですが、もう半年経ちましたね。半年後には、やれ令和最初の年末だ、やれ令和最初のお正月だなんて言っているんでしょうね。
はい、というわけで、先日フランスに行ったこともあり、第二次現代アートブームが私の中で巻き起こっているので意識高い系の記事を1ヶ月にわたり書いていきます。これを読めばお父さんやお母さんに知ったか出来るくらいにはなると思います。
目次
第4回:注目すべき現代アーティスト
※東京都現代美術館は一時閉館のため見に行けませんでした。
第1回:現代アートの歴史
現代アートは「よくわからない」「難しい」という印象が一番だと思います。なぜ、「よく分からない」のか?なぜ、「難しい」のか?今日はそんな疑問に答えていきたいと思います。
一言で言うと、現代アートは「お笑い」のようなものだからです*1。
皆さんはどんな芸人が好きですか?サンドイッチマン?中川家?それともブラックマヨネーズ?
では、もう一つ質問を。アメリカのコメディは好きですか?
日本人なら日本のお笑いが好きだと思うし、アメリカ人ならアメリカのコメディが好きだと思います。でも、外国のお笑いってイマイチ良く分からないところがないですか。私はアメリカンジョークのツボが良く分からないです。日本ではそこまで面白くない芸人がたまに海外でめっちゃウケてるときってないですか?なぜなんでしょうか。それは「文脈」が違うからです。お笑いは少なからず前提となる共通認識があり、それが土台となっています。その共通認識が文化的な文脈ですね。たまに国境を超えるお笑いがありますが、それってすごいことだと思います。この場合は、前提となる文脈は少ないのでしょうね。
こんなことってないですか?友達と話していて渾身のジョークが言えたと思って、別の友達に話したら全然受けなかったとか。自分の所属する学部の学生しか通じない冗談があるとか。それは前提となる文脈が一般的ではなかったから他の人には通じないのです。
現代アートは、西洋美術の文脈にある
さて、現代アートはお笑いと同じように「文脈」を共有することが必要だと分かりました。その文脈とは何なんでしょうか。見出しにある通り西洋美術です。現代アートが良く分からなくて難しいのはその文脈を知らないからなんです。
「美術って感性を使って感じるものでしょ?文脈なんか関係ないよ」という声が聞こえてきそうですが、実はそうでもありません。宗教画や歴史画(とにかくでかい絵が多い)は、宗教的な意味や歴史的な意味が込められており、それはそういった知識が無いと分かりません。ここでクイズです。宗教画によく描かれている「パン」と「ワイン」はそれぞれ何を意味しているでしょうか。
。。。。。
。。。。
。。。
。。
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はい、時間切れです!
正解は、「パン=キリストの肉」「ワイン=キリストの血」です。これは聖書から来ているものですね。こんな感じで現代アートじゃなくても背景知識を知っておくとより絵を理解することが出来るんです。
ざっくり西洋美術史を振り返ってみよう!
では、現代アートの理解に必要な西洋美術の流れをざっくりと振り返ってみたいと思います。かなりざっくりなので途中抜けてる部分もあるんですが、ご了承ください。
2万年前の人類が描いた絵:ラスコーの壁画
クロマニョン人が2万年前に洞窟の中に描いた壁画群です。2万年前の人類のイメージってほとんどサルと変わらないんですが、絵を描くという思いと技術は持っていたんですね。感動です。ちなみに世界最古のお酒である「ミード」は1万4000年前だそうです。
世界4大文明の一つ「エジプト文明」
エジプトと言えばピラミッドとスフィンクスが有名ですね。芸術品では「死者の書」が有名ですね。みんな横向きになってるあれです。
後は、ミイラも有名ですね。人だけでなく猫もミイラにしていたらしいですよ。昔テレビでミイラを作るのってかなり手間がかかるという話を聞いたことがあります。
哲学者もたくさんいたギリシャ時代の芸術
後にルネサンス運動始まりのきっかけとなるギリシャ芸術です。パルテノン神殿を始めとして彫刻の作品が多いです。とにかくみんなムキムキで肉体美が半端ないです。アメリカにいるゴリゴリマッチョじゃなくて、陸上選手みたいな筋肉の付き方です。
ギリシャの芸術と言えば有名なものがいろいろありますが、下の二つはもちろん知ってますよね?
現在ルーブル美術館に展示されているミロのヴィーナス(左)とサモトラケのニケ(右)です。これらは約2100年前に作られているのですから感服するしかありません。エーゲ海なので石がたくさんあったんでしょうが、それをこんな風に削るとは相当暇だったんでしょうね。ルーブル美術館でも常に人が集まる超有名作品です。
絵画技術が廃れてしまった暗黒時代
3世~15世紀半ばまでは芸術の技法が廃れてしまった”暗黒時代”と呼ばれています。この時代はキリスト教が盛んであり、絵も芸術としての意味よりもキリスト教を広めるための道具として使われていました。聖書の一部を絵にしたものが多かったそうです。その時代の絵がコチラ*2
美術が得意な中学生の版画みたいな絵ですね。この時代の絵は見ていてもとにかく面白くないです。私が言うのもあれですが、下手なので。そういうこともあり、この時代は芸術史における”暗黒時代”と言われています。
ローマ・ギリシャ復興運動
14世紀~16世紀半までの間をルネサンス期と言います。ルネッサ~ンス!チン!ヒグチクン...ではなく、古代ローマ・ギリシャ復興運動のことです。あの華やかな時代だった古代ローマとギリシャから学ぼうよ!故きを温(あたた)めて新しきを知ろうよ!*3ってことです。この頃エーゲ海で古代ローマとギリシャの美術品が発見されたこともあり、それまでは稚拙だった芸術の技法がどんどん発展していきます。
ルネサンス期で有名な芸術家が、「レオナルド・ダ・ヴィンチ」「ミケランジェロ」「ラファエロ」といった巨匠たちです。
レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐。
ラファエロの小椅子の聖母。
このようにルネサンス期は数々の名作が生まれています。また、この時代は特に写実的な絵が多いのも特徴の一つです。ブルジョアたちが画家に自画像を描かせ始めたのもこの時代ですね(多分みんな盛られて描かれていると思う…)。
ルネサンスの次に来たバロック時代
絵にも「格」があるって知ってましたか?絵の大きさを見れば一目瞭然なんですが、格が高い絵ほど大きく、格が低い絵ほど小さい傾向があります。美術館に行ったことのある人なら分かったかもしれませんが、一番格上なのは歴史画と宗教画です。とにかくでかいです。大きいものだと大きい部屋の壁一面を使うようなものもあります。みんな歴史画や宗教画を描くのが憧れだったようですが、選ばれた一握りの画家しかその絵を描くことを許されなかったそうです。その次に肖像画、風景画、風俗画、静物画と続いていました。
バロック時代は格が低いとされていた風俗画・風景画・静物画に再びスポットが当たる時代です。この時代はルネサンス以上に写実的に描く技法が発達したこともあり、こんな絵を描く人も現れました。
…ほとんど写真です。この人が描いた別の作品はコチラ。
リアルすぎます。リアルすぎて教会から怒られたこともあるそうです。
このように、この時代からはこれまであまり注目されてこなかった絵たちが注目されていくことになります。
日本人が大好きな印象派
時は流れ(かなりスキップしました)、19世紀。この時代になって絵具が発明されます。そのおかげで写生大会でやっているように、外で絵具を使って絵を描くことが出来るようになります。そうして出てきたのが「印象派」と呼ばれる人たちです。彼らは写実的に描くことを追求するのではなく、その瞬間感じた印象を絵に写すことを追求した人たちでした。有名なのは、モネ、ルノアール、マネ、シスレーです。印象派画家は日本とのつながりもあり、絵に浮世絵や着物など日本らしいモチーフを取り入れた絵が見られます。特に印象派の大家・モネは特に日本好きだったようで、自宅の庭に柳を植えたり、日本の太鼓橋を作ったりしていたそうです。
皆さんは「印象派」という名前の由来を知っていますか?有名なので知っている人もいると思いますが、その始まりとなった絵がこちらです。
モネたちが自分たちで絵の展覧会(このときはまだ名前はなかった)を開いた時のこと、新聞に記事を書いてもらうためにルイ・ロワレという記者を招きました。その人がモネのこの絵を見て「何だこれは!まるで下描きじゃないか!」とバカにして、この絵のタイトルを取って記事の中で「印象派」と名付けたのがきっかけです。それをモネが気に入って「それもらった!我々は”印象派”だ!」としたらしいです。
写実的な絵が当たり前だった時代の人にとっては、モネの豪快な筆さばきで描かれた絵は理解しがたかったのでしょう。さらに、風景画という決して絵の格も高くないジャンルだったので馬鹿にされたのも仕方なかったのでしょう。やはり時代の先を行く人は始めは馬鹿にされるものなんですね。
後期印象派~現代アートの始まりまで
この時点ですでに4000字を超えているので、ここからはダイジェスト版でお送りします。
印象派の筆遣いをさらに推し進めて発展させたのが、新印象派のスラーです。”点描画”を使った「グランド・ジャット島の日曜日」が有名です。
写実性を取っ払い、絵を基本図形の組み合わせとして再構築したポールセザンヌ。果物を円形、山は三角など形態を簡略化して描き始めたのが彼。キュビズムの土台を作った画家で、現代芸術の父とも呼ばれている。セザンヌの絵画も時代を先取りしすぎていて生前はなかなか評価されませんでした。
内面を映し出した独特の世界観を描いたゴッホ。彼も生前は評価されず弟のテオから生活のために絵を買ってもらっていた(生前売れたのはそれだけ)。しかし、彼の死後その絵は高く評価されるようになった。遠近法を使わずに色の配置だけで遠近を表現する現代芸術の基礎を築いた一人でもある。オルセー美術館の自画像は人だかりができて写真が取れないほど人気。ちなみにフランスでは「ゴッホ」ではなく「ゴッグ」と発音します。
いくつもの絵のスタイルを渡り歩いていったピカソ。キュビズムや「ゲルニカ」で有名なピカソですが、実はその他にも「野獣派」や「青の時代」、「バラ色の時代」などと言われる複数のスタイルの絵を描いているんです。ちなみにキュビズムはただぐちゃぐちゃに描かれいてるのではなく、「立体を平面に再構築する」というコンセプトが存在しています。これは立体的に表現できる彫刻に対する挑戦だと言われます。つまり、”展開図”のようなものを作ろうとしていたということでしょう。人間でやられると気持ち悪いですね。
一度は聞いたことある現代芸術作家、マルセルデュシャン。美術の教科書で便器の写真を見たことないですか?
これです。デュシャンはこれを「芸術品だ」と言って出品しました。これは紛れもない「便器」です。もちろんデュシャンが作ったものではないです。従来の芸術の枠からするとこれは芸術ではありませんが、デュシャンはそこに切り込んでいったのです。
このサイン入りの便器を使って「芸術作品とは何か」という問いを突き付けているのです。「自分で作った作品を出品するのが当たり前の展覧会に既製品を持ってくる意外性」というコンセプトに新たな芸術を見出したのがです。見た目ではなく作品のコンセプトが重要だと提唱し、今に続く現代アートの潮流を創り出したのです。しかし、この作品が発表されたのは1917年で、すでに100年経っています!現代アートといっても歴史は長いんですよね。
その後もデュシャンは難解なコンセプトの作品を次々と出しています。始めに現代アートは「お笑い」と例えましたが、その裏にどのようなコンセプトがあるのか探っていくという意味では「謎解き」の側面もあるといえますね。
現代に続く西洋美術の流れ分かりましたか?
5000字を使ってダイジェスト版で西洋美術の流れを説明してきましたが、なんとなくつかめたでしょうか。本当はもっと書きたいことがあったんですが、きりがないのでここまでにしておきます(読むのも大変だったでしょうし)。次回は現代アートの見方を説明していきたいと思います。
久しぶりにこんなに一気に文章を書いて疲れた…*4
*1:参考:「現代アートってどう鑑賞すればいいの?」https://spice.eplus.jp/articles/196682
*2:”暗黒時代 絵画”で検索
*3:正しくは、故きを温ねて新しきを知る、です。inovativeさん
*4:今回の記事は「一番親切な西洋美術史」を参考に書きました。